photo essay

VOL.29 芦原の輝き
2011年2月

 沈む直前の太陽の光りがレンズに入り、カメラのファインダー内を橙色に染める。そのオレンジ色の光を後ろから浴びて、輝きながらコミミズクが舞う。なんと美しく幻想的な光景なのだろう。

 そのコミミの姿を追うようにレンズを振り、カメラのメインダイヤルを回し露出を一目盛り上げた、そして、ちゃんと撮れますようにと祈りながら、シャッターを押した。

 もう何年経っただろうか、直ぐ側の堤防の上で、気の合う友人とカメラを並べ、談笑しながら同じようにコミミズクの撮影をした時のことを思いだした。あの頃は、何も考えずに、夢中でコミミズクにレンズを向け、そしてシャッターを押していた。純粋に撮影がとても楽しかった。

 あの頃と比べると、世の中も鳥見の世界も、そして私の周りも随分と変わってしまったが、コミミズクはあの頃と変わらず堤防をなめるように飛んでいる。そんな、変わらないコミミズクを見ていると、年がら年中何か新しい変化を求めている人間とは、つくづくせっかちで、飽きっぽい生き物なのだろうと思ってしまう。

 私を含め、人間の変化を求める気持ちが、コミミを変えてしまうことがないように。そして、いつまでも変わらないコミミの可愛いい姿が撮影できたならと願わずにはいられない。(平成23年2月記)

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