photo essay

VOL.31 春色の到来き
2011年4月

 薄い朝霧に包まれた里山は、春のパステル色に覆われていた。芽吹いたばかりの木々が見せる、淡い数々の緑色。山桜や花桃の薄紅色に菜の花の鮮やかな黄色。山間にある里山は春色で埋め尽くされていた。

 この山里には、毎年訪れる原っぱがある。深い谷の淵にある原っぱは、川沿いに立つ木々の梢が丁度目線にくるポイントで、数年前にオオルリを間近で撮影した事があった。それ以来、若葉が芽吹く頃になると必ず訪れているのだけれど、オオルリは、なかなか撮影をさせてはくれない。一度良い目にあったからと言って、都合よくまたそのチャンスが訪れることはないようだ。

 「さて、今年はどうだろう」と車を原っぱに乗り入れ窓を開けると、唯一目線より高い、そして枯れた木の梢からオオルリの声が聞こえてきた。今年も来ているな、それならば待ってみようとレンズとカメラをセットしてみたのだけれど。オオルリは枯れ木の梢が気に入っているらしく…。

 オオルリは、結局来てくれなかったけれど、その代わりに1羽のカワラヒワが、芽吹き前の木の梢に止まり一鳴きしてくれた。オオルリは撮れなかったけど、春らしい絵を一枚撮ることができた。

 来年、また芽吹きが始まったらこの里山に来てみよう。次に撮れるのは、今度こそのオオルリか、それともまたまたカワラヒワか、もしくは… 何が撮れるか今から楽しみなのだ。(平成23年4月記)

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